新型コロナウイルスのオミクロン株の猛威には大変驚かされますが、各国の感染状況から本邦でもこれまでにない感染拡大は予想されておりました。当院ではこれまでも感染予防を行っておりましたが、さらなる予防策を講じており現在の感染予防対策についてお伝えいたします。
1.施設設備
各室に十分な換気機能を持たせるため、院内全体で換気扇を24機配置しております。換気機能は「毎時3,000m3以上」です。厚生労働省の換気に関するガイドラインでは一人あたり毎時30m3です(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000698848.pdf)ので、100名以上の収容能力がございます。ただし、換気能力を超えて混雑する場合もございますので、CO2濃度測定器を使用し1000ppmを超えた場合は窓を開けて換気することもございます。
オミクロン株による感染拡大に対して、最新式の空気清浄機(ダイキン、UVストリーマ空気清浄機ACB50X)を導入しました。この製品はHEPAフィルタによりウイルスを吸着するだけではなく、265nm付近の深紫外線LEDを内部で照射することでウイルスを不活性化するという機能をもっています。HEPAフィルターは色々な空気清浄機に採用されており皆様にもおなじみだと思いますが、病院でも感染を生じてはいけない患者さんのためのクリーンルームでも長年使用されており、上述した厚労省の換気に関するガイドラインでも空気清浄機を使用する場合はHEPAフィルタ内蔵のものが推奨されています。深紫外線LED(DUV-LED)は、コロナウイルスに一定の光量で10秒以上照射するとコロナウイルスが不活性化したと宮崎大学農学部岡林環樹教授のグループが報告し、世界から注目されている技術です(出典:Pathogens 2021,10,754)。
2.スタッフの感染防御
これまでも、マスク・手洗い・アルコールによる手指消毒といった標準予防策(スタンダードプレコーション)を徹底し、感染症が疑われる方の診察の際は使い捨てガウンも着用してまいりました。また、スタッフの健康管理も行ってきております。
オミクロン株による感染拡大の兆候がみられた時点で、スタッフ全員がフェイスガードを着用しております。これにより、「ほかの人にうつさせない、ほかの人からうつらない」をさらに強化しています。
3.発熱などの症状がある方への対応
発熱や咳(せき)、息苦しいなど感染症の症状がある方には来院前にご連絡いただき「時間と場所をわけて診察する」ようにしておりました。コロナウイルス感染が疑わしい方には抗原検査やPCR検査を行っております(抗原検査は30分ほど、PCR検査は翌朝に結果が判明します)。
オミクロン株による感染症状は、「発熱、咳、咽頭痛」が主な症状であり従来の風邪症状と見分けがつきにくい状態です。特に耳鼻科は風邪症状で受診される方が多く、風邪以外の症状でも受診への不安が強いかと存じます。そのため、当院では正面玄関横にプレハブを設置し、以下の症状がある方は事前に連絡をいただき同室内で対応する方針としました。
1)37.0℃以上の発熱
2)咳嗽 (せき)
3)咽頭痛
※ 1)~3)のいずれかがある場合は来院前にクリニックにご連絡ください。
感染対策を強化し、さらに安心して受診できるクリニックを目指してまいります。